ある日突然人が亡くなること。雨宮まみさんの死

今週は仕事に余裕がある。

そうなると12時頃には
お昼に食べたいものについて思いを巡らす余裕など出てくる。

 

 

前回食べた際、風邪気味だったにも関わらず旨さに悶絶した
あのローストビーフ丼を

この健康体で余すところなく味わってやろうと思い付き、

 

私は自転車を走らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしここでいつもの問題が生じる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店にたどりつけない

 

 

 

 

ぼんやりとした記憶を頼りにいくら走ったところで

ローストビーフ丼には到達しないのである

 

 

 

Ｕターンしてぐるぐるまわった挙句、
ありふれた「ランチやってます」ののぼりに吸い寄せられ、入った店は
これがなかなか
こじんまりとしつつも丁寧に作られているであろう洋食屋さんだった。

 

 

ランチメニューを見て
咄嗟に日替わりを注文したが、

メニューを裏返すと
お店のウリのカレーが美味しそうで
後悔する。

 

 

そうして運ばれてきた日替わりＡセット（700円）を
わずかな後悔とともに口に運ぶ

ハンバーグとチキンカツ。

チキンカツが小さめにカットされているのを見て、

いつも口の端が切れている私はホッと胸を撫でおろす。

 

付け合わせのサラダには
物珍しくレンコンなど入っており、
こうしたちょっとしたサラダも馬鹿にせず丁寧に作っている点に
かなり好印象を抱く。
さらにはとろろまでついており、
原価率の高そうな根菜をケチらず使っているこの店を、

私は応援したくなった。
（※立地のせいかお客さんがいなかった）

 

 

 

上から目線で関心しながらいつものようにtwitterを開くと

 

 

真っ先に飛び込んできたのは

雨宮まみさん死去のニュース…

 

 

 

 

 

 

 

ん？

と思った。

 

 

 

 

 

え？

と思った。

 

 

 

 

 

これは、

パラレルワールドか何か？

 

 

 

 

 

 

だって

だってだって

 

数日前まで

彼女は日常にいたじゃない

 

 

 

 

 

 

 

 

雨宮さんが
欲望の赴くまま
ショッピングにひた走る姿を綴ったコラム

MURDERPOLLENの森で天然石のアクセサリーを摘む〈雨宮まみ「運命のもの、どこで買えますか？」第2回〉

 

仕事を頑張る大人には、アメをもらえる権利がある、っていう
この先の自分のお守りになるような安心感

 

 

 

 

 

夢みたいにきらびやかな
ユーミンのオーラと東京の街のこと

東京の女王

 

こんなワクワクが待っているなら、
がむしゃらに頑張ることって決してムダじゃない

 

 

 

 

 

 

 
恋愛をしていない心に寄り添ってくれる、マイナビの連載

「恋を何年休んでますか?」って、恋が平常運転だと誰が決めたんですか?

 

 

 

 

形にはならぬまま
モヤモヤと堆積していた感情を
スッ…と言葉にしてくれるブログ

32歳のクリスマス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は
液晶画面に浮かび上がる彼女の文章しか知らなくて

 

生身の身体に触れたことも、

ましてや見たこともないのだから

 

実は雨宮さんなんて存在しませんでした！

と言われても

それはそれで納得してしまうくらいの間柄なんだけど

 

 

しかしそれでも

 

 

 

いままで日常の中にいた（と思っていた）人間が

ある日突然、ポッ…と死んでしまうのは

 

こんなに関係のない私を
ぼーっとさせるくらいには力があるなあ…と思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かといって

 

 

このことは別に

 

「今を大切にしないと！」

「生きてるって尊いことだ！」

と思わせるわけでもなく

 

私は明日からもまたいつも通り、
ぶつぶつ不満を言いながら満員電車に揺られるだけの

そう、何ら変わらない日常を送るのだろう

 

 

 

 

生きてるものに残されるものは

これまた日常…。

 

 

 

 

 

そうして私は帰りの電車も、

いつものように

雨宮さんのコラムを読みふけったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早めに帰ったので

先にお風呂に入り、
ホカホカと湯だった状態でリビングに出ると

 

赤出汁の良い匂いが何とも鼻をくすぐる

 

 

 

 

こんなに綺麗に料理を並べてもらったことにとても感謝…

 

 

 

 

昨日テレビで見た女の子は

 

生まれたときからの障害で
栄養はチューブで胃から摂取、

一度もごはんを食べたことがないと言っていた

 

私は1年365日、
ご飯を楽しむ幸せを与えてもらっているのだなあ…と思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お昼に食べれなかったカレーのことを思い出し、

 

今日もまたいつものように、

床についた